熊肉の目利き
熊肉の特徴
熊は陸上哺乳類で最大かつ最強の動物です。筋繊維は、家畜(牛・豚・鶏)とは異なり、かなり粗目です。 さらに、2足歩行や木登りなど多様な筋肉を使える動物なので、筋が多いのが特徴です。そのため、ステーキなどは、トリミング・低温調理が必要で、プロ向きの調理法といえるでしょう。熊は、狩猟や駆除で捕獲され、食肉処理施設に搬入されます。適切な血抜き・解体がされていれば、ジビエ特有の「臭い」「不味い」はありません。
選び方
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価格のちがい
猟師の腕前・部位・脂の乗り・見た目などを吟味し、価格を決定しています。 A品は、日本料理・割烹クラスで使用されるレベルです。 また、一般的にツキノワグマのほうがヒグマより3割ほど高い価格で取引されます。
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食味について
熊の食味について、よくお問い合わせをいただきますが、食感は牛に近く、香りは熊独特です。また、A品は脂が多いため、違和感がありますが、熊の場合は、脂が多いほど価値が上がります。なかには脂90%の場合もあります。逆に言えば、熊肉は、脂を楽しむ食材と言えます。初めて利用するシェフからも時々「脂が多い」とびっくりされることがありますが、熊の特質とお考えください。ツキノワグマとヒグマの食味は、大きな違いはありませんが、食べ比べてみるのも一案です。
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肉の色について
肉の色は、赤または赤褐色です。赤褐色は、やや熟成を掛けた場合に多く見受けられます。 肉の色と食味に関係性は少なく、どちらかというと脂の色が重要です。
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脂の色について
透明に近い白色:主にブナの実を食した個体。油分が多く柔らかいのが特徴。
乳白色な白色:主にドングリの実を餌食した個体で、脂は固めで、うま味も強い。
ピンク色:放血や解体に時間が掛かった個体。毛細血管から脂に血が滲んだ時に見受けられます。
灰色:ブナの実を餌食した個体で、その後冷凍時にひび割れした場合。特に味には影響しませんが、見た目が悪いので、一流店では使用されません。
薄黄色:鶏の脂に似ています。トウモロコシなどを餌食した個体でとても美味。 -
取り扱い上の注意
絶対に生食はしないでください。 肉の中心を75℃以上で加熱してからお召し上がりください。 開封後はなるべく早くお召し上がりください。