猟師の仕事とは?

人間界に出没すると、農作物を荒らしたり、ときには人間を襲うようなこともある野生鳥獣たち。猟師と呼ばれる人たちは、人間界と自然界の緩衝地帯となる“里山”で、彼ら野生鳥獣と私たち人間の“住みわけ”を実現するために、日夜活動を続けています。
 また猟師は、捕獲した野生鳥獣を食肉として社会に提供する、ジビエのプロダクターでもあります。

なぜ、野生鳥獣被害が増えてきたのか?


私たち人類は、他の動物と戦い、ときには共存し合うことでテリトリーを拡げてきました。その勢いは科学技術が発達した近代に入って最高潮に達しましたが、現在の日本では人間の力が減退し、再び他の動物とテリトリーをめぐる争いが始まるようになりました。
 近年になって野生鳥獣による被害が増加してきた理由はいくつか考えられます。その中で最も大きな理由とされているのが「里山の荒廃」です。
 里山はかつて、建築材や薪、木炭の原料を得るために利用されていました。このように利用されている里山は、管理のために常に人間が入るため、山奥に住む野生鳥獣たちも警戒して近づいて来ませんでした。しかし、木材の需要が低下して利用されなくなると、里山は荒廃して次第に野生鳥獣が住みつき、農地や住宅地に出没して問題を起こすようになったと考えられています。

What's we are doing for?

人間と野生動物の調停者

このような野生動物たちのトラブルを防ぐためには、人間界と自然界の緩衝地帯として機能していた里山を復活させる必要があります。しかし当然ながら、里山の管理は莫大なコストがかかるため、大規模に手を入れることはできません。そこで野生動物が里山に侵入しないように防除、または侵入してきた個体を捕獲するのが猟師の役目です。

なお、しばしば誤解されることもありますが、猟師は山奥に入って野生鳥獣を捕まえることはありません。猟師が獲物を捕まえるのは、放っておくと人間社会に危害を与える危険性のある里山に出没する個体のみです。言い換えると猟師は、人間界と自然界を隔てる番人のような役割であり、お互いの住みわけを行い無用なトラブルを回避するための調停者でもあるのです。

山の恵み『ジビエ』を生み出すスペシャリスト


捕獲した野生鳥獣は、原則として埋設処分されます。しかし、動物の死体を里山に埋めてしまうと、悪臭や病害虫が発生したり、クマやカラスといった野生動物を引き寄せてしまうような問題が発生します。
 そこで近年取り組みが進んでいるのが食肉(ジビエ)への利用です。捕獲した野生動物をジビエとして利活用できれば、猟師は獲物を販売することで利益を得ることができ、里山を緩衝地帯として維持し続けることができるため、鳥獣被害をさらに防ぐことができる「三方よし」の流れを築くことができます。
 しかし、当然ながら、野生鳥獣を食肉として利用するためには、食品衛生法という非常に厳しい基準をクリアしなければなりません。よってジビエの最上流を担う猟師も、安全な食肉を作るための技術や知識が必要となるのです。

We are specialist!

猟師の業

猟師の世界には野生動物を捕獲する様々な技術があります。その業は『歩き方』1つにしてみても奥が深いものですが、ここではその中でいくつかを例に取り、猟師が獲物を捕獲するための業をご紹介します。

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