くくり罠

銃以外の猟具でよく用いられるのが、獲物の体の一部をワイヤで拘束する「くくり罠」です。くくり罠には、人類が原始時代から使用していたタイプや、ウサギなどの小型獣を専用で捕獲するタイプなど様々な種類がありますが、現代ではバネを使ってワイヤを締めあげるバネ式くくり罠が主流になっています。

バネ式くくり罠は、地面に埋めて獲物の足をくくるように使います。一見すると簡単そうに思えますが、くくり罠はわずか十数センチしかないため、広大な自然の中にポツンと埋めても意味がありません。
 よってくくり罠を使う猟師には、地面などに残された獲物の痕跡を探し、次に獲物が現れるポイントを予想する“見切り”と呼ばれる能力が必要になります。

さらに、獲物を捕まえた後も大変です。なぜなら、くくり罠に捕らえられた獲物はまだ生きているため、獲物にはとどめを刺さなければなりません。
 罠に捕らえられた野生動物は、当然激しく抵抗をします。このときワイヤが切れたり、足からすっぽ抜けたりすると、反撃を受けてしまい大ケガをする危険性があります。

実際にくくり罠猟では、イノシシの牙やシカの角で反撃を受け、死亡する事故がたびたび起こっています。よって猟師には、怒り狂う獲物を保定し、安全に止め刺しをする技術が求められるのです。

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